後悔しない格好いいブーツにする方法
後で後悔しない綺麗なラインを出す為には最初が肝心。
履きこんで履きこんで段々完成させていくのが革の醍醐味・・・
というのは質感の話、つまりエイジングであってせっかくいい感じに経年変化したのにスタイル自体がブサイクに仕上がったらあまりにもミジメ。エイジングとは全く次元の違う話。
変なクセが定着した後に矯正しようと思ってもすでに手遅れ。
水が下へ下へと流れるように革にかかった力は弱い方、弱い方へと、
つまり既に出来上がっている柔軟なクセや折り目の部分に自然に逃げて
いくからだ。
一度折った折り紙の折り目はなくならないように革のクセもリセットできない。
時間を掛けて完成させる経年変化(エイジング)に反してブーツのラインは早急に決定、定着させなければならない。
エイジングの美しいブーツでも形が崩れていると魅力も価値もガタ落ち。
クセを運に任せるのでは必ず綺麗に出来るとも限らず、失敗した時、見た目にも汚く修正が効かず左右非対称だったり
酷い時には肌に干渉し痛い目に合う事も。
折角好きで入手したのに変な形に仕上がって失望し嫌いになって手放すのはあまりにも惜しい。
そこで、
鉄は熱いうちに打て、じゃないが
ブーツも人間も無垢な時から教育して教養を付けてやらなければならない。
頭の悪い成年に何を言っても改心させる事はほぼ望めない。
まず足を通す。
甲を上げてシャフトをベロに被せる。
ベロとシャフトの境界線が折り目になるのが望ましい。
ライニングがあるとか余分な抵抗がない限り大概自然に被ってくれる。
この時両サイドは左右対称に凹ます。
もう片方も。
この場合、一発で決まらないようだ。
左右対称が上手く出そうに無い予感がしたときは・・・・・、
指でつまんで補正してあげる。
予感がしそうな時点からが理想。
非対称を確認した後では補正の効果がその分薄れる。
同時に踵も重要。
この場合、自然に綺麗に凹んでくれた。
これも斜めだったりずれそうな凹み方を「しそうな時」は指で補正してあげる。
変に凹んでしまった後ではその分補正の効果は薄れる。
革に基礎は教え込んだので何度も足を可動させてみたり
時折指で補助してあげたりして折れる位置を徹底的に叩き込んでやる。
シャフトの天辺をちょっと押さえつけただけでも
教えた通りのクセが出れば成功。
失敗したとしても修正はあまり期待できないが。
この時点で失敗しているのは出だしから失敗してるという事だ。
前後の凹みにより発生するシワ寄せがサイドで交差しXラインが構成される。
その結果、バランスよく全体のVラインが出現する。
さあ、基礎訓練は完成だ、後はひたすら履きこめ!
失敗・・・というか気にも留めていなかった例。
Pull-On Boots初心者の頃に入手した物で入手できた事、履いてる事だけで満足して完結していた。
何がカッコいいのか自分の頭の中で定義が無かった頃のもの。
今見ると左右非対称で特に左足の凹みが醜い。
右足も中心がズレてる。
もう定着してしまって復旧不能です。
今でも元気に活躍してくれますが趣味のブーツとしてはとても勿体ない事しました。